流れ流され

2020年6月9日 走る人
風が吹き始めたら立ち止まる。
質量を持った濃度の、新緑の傘に隠れてはじけ散る太陽の光を避ける。
肌に張り付いているのは吸収しきれなかった塩分だ。
蒸発する水分で粘度を増すそれの上を、滑るように渦を巻いて通り過ぎる風。
肺が熱い。耳元で心臓が鳴る。体中の穴から立ち上る気体に視界が曇る。

自分を置いて流れていく全てを信じている。

スタート地点

2017年11月16日 走る人
前髪を束ねた雨粒が、鼻先を滑って唇の端に溜まっていく。
舌先でそれに触れれば、通り過ぎた感情が電解質になって溜まっている。
まつげが捕まえた水滴を、弾き飛ばすような光。

ただ光だけが空から降りてきている。
足を止めたら全部が溢れてきそうで止められない。
ずっとこの道が続いていればいいのに。

顔に叩きつけられる雨が、涙と鼻水に混じって吹き飛んでいく。
通り過ぎる車のヘッドライトすら、殴り倒したい。

ぼやけた視界と淡い光に縁取られた海沿いを歩いている。
ただ世界があんまりにも綺麗で、怒りがどうしても消えてくれない。

一番殴り倒したいのは自分自身なのに、体に触れたら止まってしまいそうで。

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索