風が吹き始めたら立ち止まる。
質量を持った濃度の、新緑の傘に隠れてはじけ散る太陽の光を避ける。
肌に張り付いているのは吸収しきれなかった塩分だ。
蒸発する水分で粘度を増すそれの上を、滑るように渦を巻いて通り過ぎる風。
肺が熱い。耳元で心臓が鳴る。体中の穴から立ち上る気体に視界が曇る。
自分を置いて流れていく全てを信じている。
質量を持った濃度の、新緑の傘に隠れてはじけ散る太陽の光を避ける。
肌に張り付いているのは吸収しきれなかった塩分だ。
蒸発する水分で粘度を増すそれの上を、滑るように渦を巻いて通り過ぎる風。
肺が熱い。耳元で心臓が鳴る。体中の穴から立ち上る気体に視界が曇る。
自分を置いて流れていく全てを信じている。
前髪を束ねた雨粒が、鼻先を滑って唇の端に溜まっていく。
舌先でそれに触れれば、通り過ぎた感情が電解質になって溜まっている。
まつげが捕まえた水滴を、弾き飛ばすような光。
ただ光だけが空から降りてきている。
舌先でそれに触れれば、通り過ぎた感情が電解質になって溜まっている。
まつげが捕まえた水滴を、弾き飛ばすような光。
ただ光だけが空から降りてきている。
行き場がない、行き場は要らない
2009年11月17日 走る人足を止めたら全部が溢れてきそうで止められない。
ずっとこの道が続いていればいいのに。
顔に叩きつけられる雨が、涙と鼻水に混じって吹き飛んでいく。
通り過ぎる車のヘッドライトすら、殴り倒したい。
ぼやけた視界と淡い光に縁取られた海沿いを歩いている。
ただ世界があんまりにも綺麗で、怒りがどうしても消えてくれない。
一番殴り倒したいのは自分自身なのに、体に触れたら止まってしまいそうで。
ずっとこの道が続いていればいいのに。
顔に叩きつけられる雨が、涙と鼻水に混じって吹き飛んでいく。
通り過ぎる車のヘッドライトすら、殴り倒したい。
ぼやけた視界と淡い光に縁取られた海沿いを歩いている。
ただ世界があんまりにも綺麗で、怒りがどうしても消えてくれない。
一番殴り倒したいのは自分自身なのに、体に触れたら止まってしまいそうで。