そこにある無限

2021年2月17日 雑記
溺れている間は空気のことしか考えられない

空気を求めて開いた口から、苦い水が流れ込む
鼻腔へ飛び込む塩分と、虚しさだけで構成される怒り

それしか考えられないほどの苦しさも
乾いた地面に立った瞬間、忘れてしまう

昨日の私は既に死んでいて
今日の私はまだ生きている

明日の私との間には、越えられないほどの隔たりがあるのに
繋がっているなんて妄信はどこからくるんだろう
感覚器は全て、脳へアクセスするためのツールに過ぎない
単純でいることは簡単なことじゃない

慌ただしい日々の摩耗と軋轢に
色とりどりの修飾と解釈の違いに

混ざり合って泥まみれになった君を見失ったら思い出して
交じっても混ざれない、君だけの呼吸
優しさは目に見えない貨幣のようなものだ。

そしてそれは信頼によって取引される。実際の貨幣と同じように。
幼い子供に向けられる優しさは、未来への盛大な投資としてたっぷり支払われる。
けれどその投資の回収は、投資を受けた子供自身から受け取る形にはなっていない。

優しさを払うと貰えるのは、受け取りの証としての感謝の言葉のみ。
払われた優しさ自体は、別の人間への支払いに使われる。
循環させること。それだけが根拠のない信頼を支えている。

そして信頼だけで成り立っている貨幣を駆逐する存在。
人の優しさを食いつぶすだけの不良債権。
そこへ優しさを支払い続けることは、優しさの循環世界を崩壊させる悪行に他ならない。
優しさは無限だ、けれどその無限を支えるのは信頼だ。

信頼を崩されたとき、優しさは消滅する。

容量の問題

2011年4月7日 雑記
溢れかえる情報に飲み込まれないよう、目につく片っ端から付箋を貼って
背中のかごに放り込んでいく。

ハリネズミみたいに体中につけられた付箋を揺らしながら
同じようにフサフサになった君と目を合わせて笑う。

君が私につけた「気まぐれ」の付箋に、怒ってみせたり
私が君につけた「うそつき」の付箋に、首を振ってみせたり

誰かが私につけた「いい加減」の付箋に、「おおらか」を付け足したり
誰かが君につけた「やる気なし」の付箋に、「慎重派」を付け足したり

何もかも全部を理解しようとする、おこがましさは捨てて
自分にできることを少しずつでいいから、理解していきたい。

ただそれが、むしって増やすだけの不毛な行為だとしても
いつか君の肌に直接触れることを願って笑っていたい。

記憶の話

2010年7月14日 雑記
雨の匂いだ。

風を受けて膨らむカーテンの中で、湿度の高い空気を肺に満たしていく。
暴れまわる布の端を押さえ、合わせた両手の隙間から海を見る。
ベランダの手すり越しに見える、鈍い色をした空。
その重さに抵抗して砕け散る波の白さに、胸の奥から湧き上がる感情を止められない。

もうすぐ嵐がやってくる。

夢の話

2010年7月14日 雑記
なだらかな丘陵を柔らかな風が登ってくる。
流れる草のざわめきだけが、足元を通り過ぎる。
かすむほど遠くにある海の上へ、吸い込まれるように雲が消えていく。

夏が来た。
あいまいな定義の言葉に
主観でしか語ることのできない言葉に
振り回されるダンスのようなもの。

私と貴方が、ある事象についての意見を違えても
私たちが本当に同じものについて語っているかは証明できない。

言い出したらきりがない。

そういって無視される様々な屍骸の上にしか成り立たない議論。
そういうの嫌いじゃない。

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