泣きたくなるような気持を抱えて、誰もいない並木道を歩く。
木立を渡る風が、青葉を揺らす音だけを体に満たして歩く。
粘りのある濃い空気に、ぬるい肌をさらして歩いていく。

蠢くまだらな影の中に、私の影だけが伸びている。

人影も車もない道路で、砂粒のような月の光がしんと降り積もっている。
覆いかぶさるような暗闇に、ざらりとした感触のアスファルトが続いている。
私は一人きりを奥歯でかみしめて、体のしんまで染み込む幸福感を味わっている。
余裕の産物でしかない感情は好きだ。
こんな、どうしようもない衝動が好きだ。

寂しさは恋しさを呼んでくれるから。

胡蝶の夢

2009年2月4日 妄想

積極的な気持ち

2009年2月4日 妄想
消去法で好きだって言われるのは嫌なの。
好きだという気持ちが、こんなに滅茶苦茶なもので一体何の役に立つと。
嵐の中ただ一人立ちつくして、どこへも行けず荒れ狂う。
理性を削るように消費して、刺さるような苦しさだけを拡大再生産する。
感情に振り回される自分自身を制御できないのに、相手のことを思いやる余裕なんてどこにもない。

会いたくて、触れたくて、ただそれだけで。

こんな暴れまわるだけの感情を、一体何のために。
体の奥から心臓を食い破って出てきそうな、それを押し殺して何度も尋ねる。
いったい何のために。

妄想の始まり

2009年1月21日 妄想
胸一杯に詰まった重石が、喉の奥までせりあがる夜。
私はあの人のことを思って眠れずにいました。
どこにでもある、いつの時代にもある恋話。
単にあの人の相手が私ではなかった。ただそれだけのこと。
笑いかける優しい顔を思って胸が熱くなり、その視線の先に自分がいないことを思って凍りつく。

極端な温度は、どちらに触れようとも痛みを感じるものなのだと。

顔を覆った両手のなかに、自分の呼吸を聞きながら理解しました。
例えば私の気持ちが光であったなら、ふとそんなことを思うのです。
受け止められなかった思いは、まっすぐに空を通り抜け宇宙へ飛んでいくのでしょう。
いつかあの人を忘れた私が、老いさらばえて土にかえっても。
光であれば、どこまでも旅をしてくれる。形も色も、匂いさえも瞬間をそのままに。
いつかどこかの星が反射して、遠い未来に届くのでしょうか。
その瞬間の私の気持ちは、嘘偽りなく本当だったと、思ってくれるのでしょうか。
くだらない妄想を自嘲しながら思い浮かべて、私は胸の中心でまかれるブリキのネジを緩めるのです。

明日また、何もなかったように一日を迎えるために。

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