流れ流され

2020年6月9日 走る人
風が吹き始めたら立ち止まる。
質量を持った濃度の、新緑の傘に隠れてはじけ散る太陽の光を避ける。
肌に張り付いているのは吸収しきれなかった塩分だ。
蒸発する水分で粘度を増すそれの上を、滑るように渦を巻いて通り過ぎる風。
肺が熱い。耳元で心臓が鳴る。体中の穴から立ち上る気体に視界が曇る。

自分を置いて流れていく全てを信じている。

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